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2012年10月14日日曜日

「子どもだけは全員検査を」内部被ばく計測器 那須町、全小中実施へ - 東京新聞

 東京電力福島第一原発事故による内部被ばく対策で、那須町が、体内に蓄積された放射性物質の量を測る「ホールボディーカウンター(WBC)」を県 内で初めて導入してから四カ月。町民のほとんどが、まだ検査を受けていない。高久勝町長は「子どもだけは全員受けてほしい」と、町内の全小中学生約二千人 を対象に測定を始める方針を明らかにした。 (石井紀代美)

 県健康増進課によると、病院などを含め、県内では那須町以外にWBC検査を受けられる施設はない。「県内の汚染状況は健康に影響を及ぼすほどではない」との有識者会議の見解を受け、県は「WBCを導入する予定は今のところない」(担当者)としている。

 一方、汚染状況重点調査地域に指定されている那須町は「実際に数値を測定し、安心してもらいたい」と、約五百八十万円で独自にWBCを導入。七月から希望者を対象に測定を開始した。


 計測場所の町保健センターによると、検査を受けたのは九月末現在で五百三十五人。このうち百人は那須塩原市や大田原市などの町外在住者で、那須町民は四百三十五人という。

 測定結果では、十九人が検出限界値の三〇〇ベクレル(セシウム137)を超えたが、健康に影響を及ぼすほどの量ではなかったという。十八歳以下の検出限界値超えはゼロ。

 ただ、町の人口約二万七千人のうち、2%弱しか検査を受けていないのは課題。子どもは数十人しか受けていない。空間放射線量が若干下がっていることによる安心感や、測定結果次第では「危険な場所」というイメージが広まりかねないというためらいがあるとみられる。

 町はとりあえず、まだ検査を受けてない小中学生を対象に、今月末から順次、検査を受けさせることにした。

 町の担当者は「一度検査すれば、その結果が目安になる。仮に三〇〇ベクレルを上回っても、食生活に注意することで被ばくをコントロールしていけるので、多くの人に受けてもらいたい」と呼び掛けている。

 検査は町外在住者も一回千円で可能(町民は無料)。検査日は火曜、日曜と祝日を除く午前十時~午後四時で、予約が必要。対象は三歳以上。三〇〇ベクレル以上を検出した人以外は年一回。問い合わせは那須町保健センター=電0287(72)5858=へ。

<ホールボディーカウンター(WBC)> 内部被ばくの量を測定する機器。体内に蓄積された放射性物質から出る放射線のうち、ガンマ線を測定する。

 那須町のWBCはベラルーシ製の簡易式。椅子に座って測るタイプで、背もたれなどに放射線を受けるシンチレーターを内蔵。五分間の測定で、三〇〇ベクレルを下限にセシウムの量を検出できる。